一章

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「中央施設って書いてあるけど、何の施設なんだ?」 『中央施設』と地図に書いてある建物はとても大きな複合施設のようだった。けれど、窓ガラスはすべてスモークガラスになっていて、外からは中がどのようになっているか分からない。 「・・・・・・あやしい」 日向は思わずつぶやいていた。しかし、日向のつぶやきに同意してくれる人は残念ながらその場にはいない。いつまでも謎の施設のことを考えていても仕方ないので、日向は地図の確認を続けることにした。 「あれが高等部の校舎だから・・・」 地図に緑の屋根の建物の横に『高等部』という文字があることを確認して、日向は実際に緑の建物を見た。 「それで、あっちが管理棟のはず!」 赤い屋根の建物の横に『管理棟』と書いてあることを地図で確認した日向は、勢いよく顔をあげた。しかし、そこにはなぜか青い屋根の建物があった。 「一体どうなってんだ・・・」 日向はただただ混乱していた。何度青い屋根の建物をにらんでも、屋根の色は赤く変わらない。 日向はふーっと、深く息を吐いた。 「しょうがない。さっき授業の終わりっぽい鐘が鳴ってたし、誰か通りかかったら聞いてみるか」 そう考えて、日向は少し休憩することにした。学園の敷地はかなり広くて、正門から中央施設に来るまでに結構歩いたので少し疲れていたからだ。 日向はその場に座り込んだ。周りが森のおかげなのだろうか。日向がいる場所は涼しい風が吹いてきて、とても気持ちがよかった。
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