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学園長代理と名乗る女性が突然やって来た日から、日向には度重なる衝撃的な出来事ばかり襲い掛かってきた。そのせいで日向は肉体的にも精神的にも疲れていた。だからなのか、少しリラックスすると、ついウトウトとしてしまった。
――ドガンッ!
「っ、何だ!!」
その時、突然すさまじい音が鳴り響いた。
日向は一瞬で眠気など吹き飛び、慌てて状況を確認する。すると、さっきまでにらんでいた青い屋根の建物から、何故か煙があがっているのに気付いた。
どうしたのか不思議に思って眺めていると、どこからか複数の足音が聞こえた。足音のほうに目を向けると、数人の制服を着ている生徒たちと、それより年上の二人の男女が煙の上がった校舎に向かって走っていくのが見えた。
「ああ、遅かったか!」
三十代くらいの男が煙の上がっている建物を見て、情けない叫びをあげる。
「里中先生! 止まってないではやく行きますよ」
男よりは多少若いように見える女性がさっき大声で嘆いていた男性をせかした。どうやら生徒ではない男女二人は先生らしい。
「ほら、行きましょう! 私が二人を引き離しますから、里中先生は炎城君をお願いします」
女性が大声で指示するけれど、男性は不満そうな声をあげた。
「ええー、俺が炎城のほうですか! 氷室のほうが抑えるの楽なんですけど」
「何言ってるんですか! これ以上被害を大きくする気なんですか!」
「そうです、先生。絶対やめて下さい!」
「俺達の命が危険になりますから、本当にやめて下さい!」
女性の先生どころか生徒にまで全力で止められる。男性が他の生徒にまで次々と注意されながら、その一団は走って行ってしまった。
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