序章

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そんな訳で、朔也は学園一の嫌われ者なのである。 実際、朔也自身も嫌われるのは仕方がないと思っており、それについて特に文句を言う気はさらさらなかった。 いや、むしろ嫌われなければならない。 (俺がやることを邪魔されるわけにはいかないしね) 朔也は心の中でそう一人吹聴するのだ。だからこそ彼はどんなに他人に嫌われても、少なくともこの学園にいる間は自分の性格を変えるつもりはこれっぽちもない。 ・・・はずだった。はずだったのだけれど、朔也は最近この考えを改めるべきかなあ、なんて考え出していた。 (俺が嫌われるのは仕方ないにしても、俺のあることないことが広まってるのは流石にどうかと思うよ) そう、最近の陰口には朔也の身に覚えがないことが含まれているのだった。 自分自身で精神が図太く、細かいことは気にしない性格だと自覚している朔也でも、この状況にはさすがに理不尽さを感じていた。
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