一章

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「もしかして、照れてたのか?」 その場に朔也はいないので本当はどうか分からないけれど、日向は自分の考えがあっているような気がした。 「変なやつ」 日向はいつの間にか自分が笑っていることに気が付いた。 出会ったときはすぐどこかに行こうとしたくせに、ちゃんと日向を助けてくれたところとか。結局森にいた理由もよく分からなかったところとか。 そんな『変なやつ』だった。 けれど、・・・。 「いいやつだったな」 道を案内してくれたくらいで大げさかもしれない。けれど、知らない場所で不安になっていたところを、最初に助けてくれた朔也のことを『いいやつ』だと思ってしまう日向だった。 この思わぬ出会いが二人にとってどのような意味を持ったのか。 それが分かるのは、もう少し後の話である。
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