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雷鳴を轟かせながら、金色の雷光───ウィル君が向かってきます。
「僕、まだ戦えるよ?」
自身の身に纏う雷魔法を解除しながら、きょとんとした表情で不思議そうに私を見てくるウィル君ですが、既に戦果としては十分に過ぎます。
「ええ、それは分かっていますよ。ですが後はケイさんとリリアーヌに任せて、ご両親への挨拶をしましょう」
私がそう言うと、ウィル君は納得してくれたらしく。
「おとーさん、おかーさん。ただいま! 僕、少し強くなったよ!」
ウィル君、ウィル君。
世間一般で言えば、それは「少し」ではなく「驚異的に」と言うんです。
ケイさんと戦ったからか、盛大に勘違いしてますよ。
私のそんなツッコミは脳内で行われただけなので、もちろんウィル君へは届かず。
ただご両親の表情が、私の代わりに思い切りツッコミを入れていました。
「この通りウィル君はウィル君なので、今後もしっかり育ててあげてください。とは言っても、ウィル君を真っ直ぐ育てているあなた方なら特に心配も要らないかと思いますが」
私はご両親側のフォローに回りました。
この通りウィル君は、あまり事の重大さを理解していないのです。
振るう力の危険性だけは、ケイさんから叩き込まれているのですが。
「……そうですね。流石に驚いてしまいましたが、ウィルは私達の息子です。……ウィル、おかえりなさい。とても良く、頑張ったみたいね」
母親であるマルセナさんが、優しく微笑みながらウィル君を抱きしめました。
父親の方も、ウィル君の頭をゆっくりとした動作で撫でています。
「うん! でも、ケイにーさんはもっともっと強いから、僕ももっともっと強くなるよ!」
無邪気にそう言うウィル君は、本当に末恐ろしいです。
ところでイレーネちゃんの方はと言うと、父親である村の顔役ロビンのもとに居ます。
どうやら数日前にも影からの襲撃があったそうで、今回とは比較にならないほど小規模ではあったらしいですが、ロビンはその際に負傷してしまったとの事で。
右腕を包帯でグルグル巻きにして固定していたのですが、イレーネちゃんがあっさり完治させていました。
ロビンは完治した腕でイレーネちゃんを抱き上げ、グルグル回りながらべた褒めしています。
親バカです。
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