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「ズバリ、ケイさんの女性の好みを聞きたいと思います。主に容姿で」
純白のテーブルクロスが掛けられた長いテーブルの上に乗せられた、それなりに上質な朝食を口へと運びつつ。
私は向かいに座るケイさんへと質問を投げ掛けました。
ええ、今は着替えを終えて食事中です。
「容姿は二の次、三の次だと思ってる訳だが」
「急激に興味を無くしました。もう良いです」
最初の会話が静かに終了しました。
「それにしても、敵が出現して約半年が経過しましたが……今回は分かり易い進展がありませんね」
ケイさんの召喚からは四か月程度しか経過してませんけど、それにしたって。
「勇者召喚以後の被害の押し留め具合で言えば、過去最高なんだろうがな。……いっそ焦れた敵が総力戦でも仕掛けてくれれば、一網打尽に出来るんだが」
歴代最強の勇者様がとんでもない発言を付け足しましたが、否定する言葉を見つけられない私です。
「残念ですがそれは無いでしょう。敵もケイさんの力を恐れていたみたいですし。子どもっぽいガンマはまだしも、思慮深そうなベータは絶対にやりませんよ」
ジヴァースの南極で出会ったあの時、ベータは最大限の警戒心を働かせていました。
だからこそケイさんの初撃を、不完全とはいえ回避出来たのでしょう。
ただ、それだけの思慮深さがあるベータが己の手札を晒してまで、ガンマを回収したのが気になります。
「……もう一度、二世界同時索敵を行ってみるべきでしょうか」
ふと口をついて出た言葉でした。
一度空振りに終わったからと言って、二度目もそうとは限りません。
三度目の勇者をしているケイさんのパートナーとして、たった一度で諦めるなんて根性が足りませんでした。
「死ぬ程きつそうだったが大丈夫か?」
うわぁ、ケイさんが本気で心配そうな目を私に向けてきてます。
確かに自分でも無茶苦茶な術式を組んだ自覚がありますよ。
広大な砂漠で落としたビーズ一粒を見付け出す方が楽……というか私ならそれ楽勝ですね。
良い比較対象が見付かりませんが、とにかく「ケイさんが心配するレベル」ってことです。
「魔力自体はケイさんに供給して頂きますし、一度目でコツも掴みました。何より───私はケイさんのパートナーです。やってやりますよ」
丁度食事が終わるタイミングで、そう宣言しました。
静かに立ち上がりこちらにやって来たケイさんに、頭を軽く撫でられました。
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