プロローグ

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 江戸城~城内~  季節は小雪を迎え冷え込みが一段と厳しくなり江戸城でも冬支度が本格化していた。  吉宗と爺が広間にて座りながら談笑をしていた。 「殿、最近はめっきり朝晩が冷え込んで参りましたなあ。冬の寒さは年寄りの体には堪えますわい」 「爺、そういえば最近冬に備えて新しい羽織物を手に入れたと聞いたが・・・」 「おおさすがは殿、耳が早いですな。実はこの爺、この冬を乗り切るために何か良いものはないかと思案しておったところ、松前藩出身のものからアイヌのマタギ衆が冬山で狩猟をする際に身に着けている熊の毛皮がたいそう暖かいと聞きましてな。この爺、動物の毛皮と言うものは忌み嫌っておったのですが、その者がお試しになるだけでもといい、わざわざ取り寄せてくれたものですから渋々着てみたのですが、いやいや参りましたわい。これほどまでに暖かいとは想像以上でしてな。いまや殿とお会いするとき以外は肌身離さず身につけております」 「そうか、爺にとってはこの冬を乗り切るための必需品と言うわけだ」
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