第13話 【初詣】

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杏奈さんが、咲菜ちゃんと紙袋いっぱいの東京のお土産を連れて帰宅したのは、26日の夜であった。 「ねえねえっ、セクシーネグで正臣を誘惑した?」と、甘い夜の報告を待ちわびる杏奈さんが、私だけに聞こえる様に耳打ちしてきたけれど… 杏奈さんが期待していた『甘い夜』作戦は遂行出来なかったものの、先生のベッドの上で体を重ね、一緒に朝を迎えた2日間。 「いえ…やはり私にはハードルが高くて。すみません。いつか、頑張ります!」 自嘲的な笑いを浮かべながらも、ガッツポーズで答えた。 …いつか、頑張ります? 杏奈さんのすっ飛んだ勢いと眩しすぎるオーラに押され、思わず気合十分に言い切ってしまったが… 1年3ヶ月の契約が終了するまでに、あの悩殺ランジェリーに力を借りる日が来るのであろうか。 もし、勇気を出して着ちゃったりしてみたら…本当に、先生は喜んでくれる? こんな、質素な体だけど…。 二の腕、胸、股関節付近と太股、そしてお尻。筋肉痛と言う名の「濃厚セックス後遺症」に密かに耐えながら、心の内で苦笑した。 12月29日、土曜日――― 午前中の書類整理で本業の仕事納めをし、明日から4日間長野県に帰省する支度をしにアパートに戻り、その足で今度はコンビニの仕事納めに向かった。
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