第13話 【初詣】

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そんな私の様子をしげしげと見つめ、彼は口を引き結ぶ。 「何をそんなに頑なになってんだよ。この間の様子も動揺しまくりだったし…もしかして、あの医者と安藤自身との間になんかあんの?」 お涙頂戴の話の下に隠した不埒な事実を暴こうとするかのように、深津さんが胡散臭そうに私を見ている。 「何を言ってるんです?何かある訳が無いじゃないですか。家の主人と使用人の関係でしかありません!」 必要以上に、胸がバクバクする。 「ホントに~?じゃあ、イケメンエリート君の境遇に母性本能を擽られて、安藤が恋しちゃったとか…」 「前にも言いましたよね?威張り腐った傲慢な医者と仕事は出来ても、恋愛だなんて…私、考えた事もありません!」 ――よくもまあ、ここまで嘘を言い切れるもんだ。 自ら契約内容に「私を抱け」と、前代未聞の家政婦業務を捩じ込んだ張本人が… 自嘲せずにはいられない。 「ふ~ん、なるほどね。…なら、良かった」 深津さんは呟くようにさり気無く言って、再び煙草のケースを開け始めた。 …ん?良かった?――――って、何が良かったんだ? 何だかよく分からんけど… 「…はい、納得して頂けたなら良かったです」 目をパチクリとし、取り敢えずの言葉を返した。 互いに一息置いた頃、 「明日から長野に帰るんだろ?いつ帰ってくんの?」 新たな話題を切り出す、深津さんの声。
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