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やがて月日は流れ 早くも高2に進級していた。 葵とはまた同じクラスに なることができた。 桜は隣のクラスだが 齋藤くんは全く遠いクラス。 進級して間もない時だった… 【齋藤くんと桜ちゃん別れたらしいよ。】 そんな噂を耳にした。 桜はダンス部を辞めてしまっていたので、全く関わりを失ってしまった。 「ねぇ、葵。桜たちって別れちゃったの??」 黒板を消している葵に尋ねる。 「あー、別れたね。」 葵はなんとなくさみしげな顔をした。 「あいつらうちの大親友だからさ。別れて欲しくなかったな~」 「そうだよね、なんでだろう。」 「それがさ、またバカな話でさ。桜に好きな人が出来たらしいよ。」 「あら。そうなんだ。」 葵は呆れた顔をしていた。 なんで付き合ってるのに 好きな人が出来ちゃうんだろうか。 私には理解し難い。 私は休み時間葵が体育委員の集まりで居ないので、たまたまあのレッスン場へ足を踏み入れた。 まさか…ね。 そんな期待をしながら のそのそとレッスン場へと入っていく。 「…おう。」 低い声がした。 まさか。 「えっ…あ、齋藤くん。」 「和馬でいいって。」 窓から身を乗り出していなかったので姿が見えなかったが久々に聞いた齋藤くんの声はなんだかさみしげだった。 私は窓を挟んで背中を向け 座り込んだ。 「大丈夫…?」 なぜかぽろっとでた言葉。 「大丈夫…なわけ。」 齋藤くんが鼻をすする音がした。 泣いてたのかな。 「泣いてるの…?」 「泣いてねーよ。窓覗くんじゃねーぞ。」 壁を挟んだ向こう側で聞こえるかすかな齋藤くんの声に私は壁に耳をくっつけ聞き取っていた。 「いつも俺辛くなるとなんだかここに来ちゃうんだよなあ。」 「…そうなのか。」 私はかける言葉を失ってしまった。 「くそぉ…」 明らかに齋藤くんは泣いていた。 キーンコーンカーンコーン。 予鈴のチャイムが鳴る。 「…。戻らなきゃ。」 私はスッと立ち上がって 窓から身を乗り出し 座り込んでいた齋藤くんの頭の上に手をおいた。 「泣くな!高校野球児!」 私はそういってレッスン場を離れた。
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