8人が本棚に入れています
本棚に追加
些細な小競り合いみたいなものつてすごく幸せに感じるのは私だけ…???
「ちょっとぉ~遅くなーい?」
「悪りぃ悪りぃ」
「あれ?りこは??」
「トイレ行くから先行っててって言われたー。」
「まじか。そろそろ始まんのに。」
___________
_____________________
「もーーーー!お腹痛い!」
腹を抱えてトイレにしゃがみこんでいた。
今日に限って被る女の子の日。
それは一ヶ月に一週間訪れる辛い時間。
バーンバーン
花火の音が聞こえる。
最悪だ。
花火の開始10分後に戻る私。
みんながいる場所へと向かった。
暗い空には大きな花火が上がっている。
色とりどりの花火が
大空を締めくくり、
真っ暗な地上を花火が照らす。
上を夢中で見ながらみんなのいる場所へと着いた。
だけどそこにいるのは泉と葵だけ。
「おー!はやくりここっちおいで!」
「桜と和馬くんは?」
「…2人で見にいったよ。」
「えっ………」
「川の方にいるよ。」
葵が土手から指を差す方向へと目をやると桜と和馬くんが
隣に座って2人で満天の花火を見ていた。
今にも涙がでそうだ。
片手で後ろから目隠ししていた。
「七島…あんま見んなよ。なんか俺が落ち込む。」
「なんで泉が落ち込むのよ。」
今にもこぼれそうな涙を必死にこらえた。
さっきまであんな小競り合いとかしてたのを幸せに感じていたのに。
そんなことで勝手に舞い上がったり落ち込んでる自分がバカバカしくなる。
和馬くんの肩に桜が頭を乗っけている。
別れたんじゃないのかな。
泉はそっと私の頭に手を回し、
自分の肩へと傾けた。
「…今は俺と恋人ごっこな。」
「泉…どうしたの今日だけ優しいの。」
「ばかいえ。俺はいつでも優しい。」
否めない。
「わかったよ、ありがとう。」
私は泉の肩に頭を乗っけたまま
花火を見ていた。
さっきまで2人の姿を見るだけで辛くなっていたのに…
今じゃ全く視界にも入らない。
満天の空に広がる明るく綺麗な花火を楽しんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!