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散々悩んだ挙句…
当日の28日
私の手には水色の可愛い浴衣。
予定の時間まであと3時間。
どうしよう。
「その浴衣どうしたのよー??金あるねー。ほんっと。」
母が私に話しかける。
「ままぁ。着てくべきかなぁ。」
「着てかないでいつ着るのよ。今日は泉と花火だっけ?」
母は泉と仲良いことを知っている。
もちろん大親友なことも。
「…う、うん。」
とにかく見よう見まねで着てみる。
なにこれ…むっずかしい。
あっという間にあと一時間。
「ままやってあげるよ~も~」
母は手際よく着させてくれた。
全身鏡に映る見慣れない自分を見て少しにやける。
「ふふっ…泉に恋してるみたいね?」
「ち、がうよ。」
泉じゃないんだけど…
「これ、作り帯じゃん!まま作り帯嫌いなんだよねぇ~だからまま帯持ってるからままのつけてあげるよ~」
「ままちょっと時間ないよ…」
結局遅刻。
時計台の下…時計台の下…
「か!ずまくん??」
「おう。いこっか。」
…
浴衣の和馬くんです…
かっこいいです…
イケメンです…
かっこよすぎて何も言えないよ…
「ちち遅刻して…ごっごめんね。」
「え?遅刻してなくね?」
あっ…10分前行動だから
別に遅刻はしてないのか。
「あ、いや、ごめん。」
なにいってんだろ。
「なに?緊張してんの?」
ふふって笑って私の顔を覗く。
「し…してるよ!そりゃ!」
「俺もだけど。」
え、緊張してるの?
少し?が赤くなった和馬くんはなんとも可愛らしかった。
坊主が少し伸びたツンツンした頭。
「花火見れるとこってこの崖登るらしいんだけど…」
2人で私の足を見る。
下駄な…
下駄がな…
「…崖!上ろ!」
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