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キシッ… 椅子が音を立てる。 少しの音も 鳴り響くのを避けたい。 椅子の軋む音でさえ緊張する なのに… なんでかな。 ガッシャーン。 椅子が大きな音を立てて 背中から床に頭を打った。 痛ったぁ… シーンとなっている入学式だからみんなこちらを見る。 職員の方が近寄る。 隣の男の子が腕を掴み立ち上がらせてくれた。 「どうも…」 私はボソッとお礼を言った。 「あっりゃあ~椅子が古かったみたいだねえ。ごめんなさいね。」 直ちにその椅子は撤去され 新しい綺麗な椅子が私の元へ届く。 最悪。 入学早々静かに暮らしたいのに 一番最初に目がついてしまった。 肩が下がりため息が出る。 「くくっ……。」 笑いを抑えきれない隣の少し救いの神に見えた人が…いや今では悪魔だ。 クスクス笑う。 「ちょ…っと。うるさいんだけど。」 私はギロっと睨みつけた。 「…うるさいのどっちだよ…くっく…。」 どんだけ私はついてないの。 こんなに勉強して そこそこの頭の良い 学校来たっていうのに… 入学早々これだよ。 出だしは最悪なわけです。
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