8人が本棚に入れています
本棚に追加
それに比べて私は…
ちょっと太ってきたお腹をつまみ
羨ましく桜を見つめる。
あー
あんなにスタイルが良かったらなあ。
そう思いながらも
首にかかっていたタオルを取り
レッスンを始めた。
「次の大会は2、3年生と1年生2人の計25人で出ます。1年は入ってばかりだけどオーディション始めるから練習しといてね。」
と軽く先生がつぶやき、
レッスンをあとにした。
ふぅ…2人か…
3歳から始めていたダンスは
そこそこ得意ではあった。
負けず嫌いなので…
ぜひともここは2人のところには
入りたいと思う。
よし、頑張るぞ。
レッスンが終わりみんなが教室を去って行った。
私は一人残ってペットボトルに入った水を一気に飲み干し、練習を始めた。
滴る汗。
曇る鏡。
火照る顔。
私はなにも気にせず
無我夢中で踊っていた。
「…なぁ…おい。おい!」
窓から低く大きな声がした。
だが窓はカーテンで隠れているため、太陽に照らされた影しかカーテンに映らない。
私はビクッとなった肩をゆっくりと下げ冷静を装って、ゆっくりとカーテンを開ける。
「ううあわあぁ…」
カーテンを開けると意外と近い距離に
野球のユニホームを着た少年が立っていた。
背が高く坊主のガタイが良い好青年。汗をかいているが、顔が崩れないタイプだ。少し焼けた顔は赤く、目も真っ直ぐだった。
「…。」
なにも話さずただじっとみてくる、少年に私はゆっくりと話しかけた。
「あ…え…。なんですか?」
少年は自分も驚いたようにビクッとなり、口を開けた。
「あ、いや。クーラーついてるかなって。」
少年はユニホームの袖で
汗を拭いていた。
最初のコメントを投稿しよう!