平凡と問題児と

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* ケンはいつも工藤と言い合ってて、カイさんは生暖かくそれを見守り、俺も楽しく過ごしていた。 カイさんが卒業してからは、中学校では俺とケンと工藤の3人でつるんでいた。 あの頃はとても楽しくて、あぁ卒業したくねえな、って思ってた。ずっとこうやって、みんなで変わらず馬鹿やってたいなって。 人の心なんて、簡単に移り変わっていくものなのに。 「おはよ」 パチリと目を開けば、見知らぬ男子生徒が俺の寝ているベットに腰掛けていた。 いや、正確には1度だけ相見えたことがある。 「ひさしぶり、渡辺クン」 「……芹澤さん?」 ニッコリ。 そう聞こえそうなほど整った笑みを浮かべていたのは、噂の人、芹澤さんであった。 「調子はどう?」 「……まだ少し疲れてますけど、問題ないです」 「そっかー」 はは、と彼は微笑みながら俺の頭を撫でる。飄々とした雰囲気の彼は、どこか読めない。 「あの……何か用が…?」 「ああ、ずっと君と話がしてみたかったんだよね。用という用はないかな。ただ、君ってどんなひとなのかなって興味があるんだ」 「はあ……」 やべーな怪しい匂いしかしないんだぜ。 こういうタイプの人間は扱いが難しい。下手なこと言うと何しでかすかわかったもんじゃない。俺はそっと彼を綾瀬川先輩カテゴリーに分類した。 「俺、人間観察が趣味なんだけど」 「へ、へえ」 「?」 突然始まった話に着いていけず、若干引いてる俺に首を傾げる芹澤さん。俺は気にせずどうぞどうぞと先を促す。 「前から君たちの話は兄さんから聞いてたんだ。面白いのが入ってきたって」 どうやら寮長のせいでフラグが立ったらしい。許せねえ。 *
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