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「わかったわかった、ありがとな香坂」
「おれ保険医さがしてくるっ!!!」
「いや、いいからお前は授業出ろ!お前すでに結構サボってるだろうが!」
「……うー」
忘れたとは言わせないぞ……体育祭練習のときだっていなかったやつだからな。
仕方なく帰ろうとする香坂を見て、俺も本格的にベッドに潜りこむ。
「俺もとりあえず安静にしとくから、適当に先生に言っといて」
「うん!!!わかった!!!!」
良いお返事である。
上機嫌で保健室をあとにした香坂を見送り、俺は目を閉じる。
ううん、俺はそんなに疲れているように見えているのだろうか。周りに見てわかるくらい疲弊しているように見えているなら、それはよくない。
考えていると、うとうと眠くなってくる。
やっぱりちょっと風邪気味なのかもしれないな。
俺は眠気に身を任せて、力を抜いた。
昔の夢を見ている気がした。
「なあ、あっちゃんよ」
「なに?」
「なんでうんこって毎日出るんだろうなー」
「……毎日飯食ってりゃ自然と出るだろ」
「あかり、ケン、今飯食ってる時間だからその話あとにしてくれねえかな」
昔っから3人でつるんでいた俺達だが、ちょうど俺とケンが2年生、カイさんが3年生の頃に新しく仲間が加わった。
「ほんとあんたらくだらねえ話しかしねぇな」
整った顔を歪めて心底嫌そうにそう言ったこいつは、かなり生意気なガキだった。
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