平凡とヤンブラと

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* その日の夜、俺は久しぶりにケンに電話をした。 『あっちゃん!!!!!!!』 「うるさい」 相変わらずのデカイ声に、香坂を思い出す。 もしかしたら俺が香坂に世話焼いていたのは、こいつに似ているところがあったからかもしれない。 「なあケン、お前さ、俺のことどう思う?」 『かっこいい!あとな、俺より背が高ぇところもかっこいい!勉強もできるし、スポーツもそこそこだし、ケンカはおれの方が強えけど、そこはしょうがねえよな!』 「わかったもういい」 まだまだ続きそうだったので、やめさせる。まったく小っ恥ずかしい。 俺は自室のベッドから起き上がると、窓脇に立ち夜空を見上げた。 『あっちゃんはよ』 「ん?」 少し黙った俺に、ケンの方から話しかけてきた。 『昔っからモヤモヤしたもんが腹にたまってても、気づかねーんだよな』 「?どゆこと」 『だーかーらーー、なんつーのかなー!あっちゃんも気づいてないしー、周りの奴らも気づかなくってよー。あっでもおれはわかるけどな!!なんてったって、あっちゃんの大親友の幼なじみだからな!!』 「あー、ハイハイ、あんがとね」 『だからなあっちゃん、こうやって電話してくれるとな、おれ嬉しい。あっちゃんのことは俺が守ってやるからな!任せとせ!』 その言葉に、俺は思わず口を噤んだ。 そして、喉がククッと鳴る。 「くっ……な、なんだそりゃ……あははっ」 『アーーー??なーに笑ってんだよあっちゃん!!!!』 「くくっ……なーんでもないよ。あ、そういや工藤元気?あれから連絡してなかったからなー」 『ハーア???知るわけねえだろあんなハゲのことなんか!!』 「ハゲじゃねーから!だってアイツも受験だろ?どこ受けるとか言ってねーの?」 『知らねーってば!!そんなことより、次いつこっちに帰ってくんだよ!!!』 他愛のない話をしながら、夜は更けていった。 *
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