プロローグ

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…………はめられた。 そう気付いた時には、時既に遅し。 随分と滑らかに動くようになったその唇に釘付けになる。 見かけの割りに策士だな。 なんて、余裕な振りでもしなければ、多分この場を乗り切れない。 「……先生の番だよ。」 「あぁ、ごめん……。」 「もう、ボォーッとしないで下さい。」 軽い戒めに甘さが含まれて。 弱い部分を撫でられるような感覚を覚えて、軽く溜め息を吐く。 「……やっぱり、全然駄目ですか?」 サラリとした肩までの黒髪が、小首を傾げる仕草と共に揺れた。 教師になって2年と半年。 今まで生徒に惹かれたことがないのだけが自慢だったのに。 たった今、それは覆された――――。 .
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