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「ん?」
「えっと……その……。ちゃんと作ってあげるよ?……先生の為にも。
だから、何が良いか教えて…?」
「………」
……上目遣いとか。
本気でやめてくれ。
天然なのか?この少女は。
天然で俺を犯罪者にするつもりか。
「調理実習で練習した後で、だけどね」
「意味分かって言ってるのか?それは」
「意味って?」
「いや、なあ……」
飯を作ってやるって、つまりは家に来るという事だろう。
独り暮らしの男の家に上がる意味……真面目に考えてないな、ことりめ。真面目少女のくせに。
とりあえず、話がおかしな方向へ向かわない様に話題を変えようと、目を彼女から逸らした。
「教えて」と期待に溢れた瞳は、正直直視するにはキツいものがある。
――勿論深い意味で。
「ちょっ!先生、何で目逸らすの?」
「…か、考えてるんだ……――色々と」
「嘘っぽい!教える気無いでしょ!メニューに関してもっ」
「そっちこそ、……何故俺の好みにこだわる」
「う。それは……」
泳ぐ瞳。明らかに何かを隠し、そして誤魔化した。
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