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彼女は嘘を吐くのが下手だ。
そして、他人の嘘を見破る力も残念ながらほとんど無い。
要するに、素直なのだ。とても。
(……そういえば、)
ふむ、と慌ててる彼女を見つめつつ数時間ほど前の記憶を辿る。それに加えて。
調理実習のメニュー。
ポークソテーに野菜炒め、ロールキャベツ……悩んでいる献立にあえて選ばれた料理名を脳内で反芻した。
(ことりのクラスはA組)
パズルのピースを一つずつ合わせる様に、頭に浮かぶパスワードを上手く並べていけば……。
辿り着く、確信に近い仮説。
自分の中にひろがる甘美な誘惑に、思わず口元が緩んだ。
知りたいというなら――仕方ない、よな。
「教えてやれば良かったのに」
一言言えば、不思議そうな表情がこちらに向く。隣りに座る身体を抱き寄せて、耳元で答えを。
「ことりなら考えれば分かる筈だけど。何故言わなかった?」
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