恋と教師とロールキャベツ

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素っ頓狂な声を上げて、彼女の抵抗ははたと治まった。 逆にこちらへ身を乗り出してきて事の真相を聞こうとするが、元々腕の中にいるだけにその行動を取られると、唇が重ならんばかりの至近距離になる。 自分としてはこの上ない状況なのに、つい勢いに負かされ上体を僅かに反らしている辺り、俺にはまだ若干の教師としての良心が残っているらしい。 ……というより。 惚れた弱み、か。 (ちゃんと説明しないと、後で機嫌悪くなりそうだよなぁ) まあ、教えてやろうと思った以上は、全部を順序良く教えないと。 気持ちの切り替えが速いのは自分の長所、才能だ。こればかりは誰にも負ける気はしない。 どさくさに紛れて“俺の秘めたる傾向”を探ろうとしていた噂好き女子高生、もとい、秘密の恋人にニッコリと笑って。 体勢をさりげなく戻し、かつ自分が有利に事を運べる様こっそりと準備をしつつ口を開いた。  
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