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「今日の昼休み、体育科の南田先生から余計なお世話情報を貰ったんだ。ことりのクラスは四限目体育だったそうだな」
「うん」
「A組女子に『先生は恋愛において肉食系か草食系か』とからかわれて大変な目にあったとぼやいていたぞ。ぼやいていた割に顔が緩みっぱなしだったがな」
「あー……。確かに妙に張り切ってたかも。『俺は見ての通り肉食系だ』ってテンション上がっちゃって、皆引いてた……」
「………だろうな。ま、それはともかく。彼に余計なお世話情報を貰ったって言ったろ?色々聞かされたんだよ、俺の事もどうなんだって噂してた、とな」
至極残念そうに目をつぶり、彼女は「南田先生ってば余計な事を……」とそれこそぼやいていた。
思わぬ所からネタバレしていた事がそんなにショックだったのか、こちらの行動には全く気付かない。さりげなくではあるが腰に手をまわしたのに。
「大方、ことりは皆から探ってこいとか言われたんだろ。俺にこき使われてよくここに出入りしてるのは知られてるし。まさか付き合ってるとは誰も思ってないだろうが」
「先生が皆の質問に答えてあげないから、私が変な役目させられる羽目になるん……っわ!?」
最後まで言葉を聞く前に手は動いていた。
長い髪がシャンプーの香りと共に一瞬舞い。
ソファーに倒れ込むと、勢いのまま、彼女の鼻先に自分のそれを擦り合わせ……。
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