筋金入りの射手達

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「危ない所だったな」  ドーシャスの体を後ろへ引っ張り、部屋の中へと逃げ込ませた男が扉を閉めながら言う。彼は見た目で判断するならドーシャスの年齢の半分と言った所であり、スリムな体型ながらも筋肉質な事が伺える。そして何よりも出で立ちと言うか、存在その物がただ者ではない事を醸し出しており、ドーシャスは直感的にそれを感じ身構えていた。 「何もそんなに身構えなくても……。俺は味方だし、何より貴官の危機を救ったのだぞ?」 物言いこそ穏やかだと思ったが、同時にドーシャスは失礼な奴だとも思っていた。自分の半分程しか生きていない若造にタメ口を聞かれているのだから。 「それに対しては礼を言おう。しかし、貴様は何者だ?」 「俺は……?」  男は自己紹介をしようとした瞬間、何かに気がついたのか言葉を遮った。目に見える状況は何一つ変わっていなかったが、聴こえる状況は大きく異なっていた。そう、銃撃が止んだのだ。 「自己紹介は後にしよう。まずは状況の確認と打開策だ。銃撃が止んだと言うことは、敵はこのフロアに攻め込んでくる。そして貴官の死体がないのを確認する。近くに潜んでいるだろうと考え、慎重に進んでくる。そして、この部屋の前に来る。さぁ、どうする?」 淡々とした説明から突然話を振られたドーシャスだが、間を空ける事なくこう続けた。 「中で反撃の準備を整え、扉が開いた瞬間に撃つ」 ニヤリとした俗に言う悪い笑顔を覗かせるドーシャス。言うが早いが、彼は背中に背負っていた彼の愛用品であるミニガンを両手で抱える様に構えていた。そのドーシャスの姿を見た青年は頭の中で呟いた。 (……いくら重装兵とは言え、ミニガン装備とは) と。驚きと若干の呆れが彼の感情として胸のなかにふわっと現れる。
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