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ミニガン。 6本の銃身を持つ電動式ガトリングガンであり、毎分2000-4000発という単銃身機関銃をはるかに超える発射速度を持つ。ベルトリンクに見える部分は給弾ベルトで、この中を通って弾丸が送弾される。主な用途は軍用ヘリコプターの地上目標に対する制圧射撃用であり、側面ドアの銃架に装着されてガンナー(ドアガン)が射撃する。また、一部の攻撃ヘリコプターでは機首のターレットや機体側面のラックに搭載されるなど、固定武装として用いられる。 本体重量だけで18kgもあり、加えて多数の弾薬と作動に必要な大容量のバッテリーが必要なため、歩兵の携行兵器としての使用は非現実的である。また、手で構えての射撃にしても、実弾発射時の反動および振動が射手の体力・体重程度では到底制御できるものではなく、不可能である。にもかかわらず男の目前にいる兵士はこれを構えているのである。だからこそ、男の胸中に驚きと呆れが生まれたのである。
「君の判断は正しい、その作戦でいこう」
男は言うと同時に扉の左横の壁に貼り付いた。ここは部屋の外からは完全な死角であり、見るためには部屋に入るか覗き込むかしか無いのである。言わば絶好のポジションである。男は腰にぶら下げた投稿武器を右手で握り、ドーシャスの方を見ると空いた左手でサインを出す。
(なんだ……『私がこれを投げ込む。貴官は敵が怯んだ隙に一掃してやれ』か。なるほど、あれはスタングレネードか……)
ドーシャスは頷くと同時にミニガンのグリップを握り締める。部屋内の二人が微動だにしなくなった事により、静寂が部屋を支配した。緊張感が張り詰め、プレッシャーが重くのし掛かる。気が付けばドーシャスの心拍数は上昇し、体の中心から脈打つ音が響き渡り耳まで届いていた。こういう時は深呼吸したい所だが、そうもいかない。確かに深呼吸は気持ちを落ち着けるには一番だが、それは一度気を緩めるからに他ならない。彼等は知っていた。一瞬の気の緩みが死に直結する事を。そして、のし掛かるプレッシャーに負けた時にすべてが終わる事を。
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