筋金入りの射手達

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 一体どれ程の時間が経過しただろうか。恐らく数十秒しか経っていないのだろうが、彼等は数十分も経っている様な気がしていた。部屋の外から足音が聞こえてくる。その足音は彼等の潜む部屋の前で止まった。緊張感が一気に高まる。  部屋の扉が開いた瞬間、男は手に持つスタングレネードを投げ付けた。スタングレネード、爆音を響かせ敵を怯ませる武器である。敵の兵士は投げ込まれた瞬間に確かに怯んだ。否、一瞬だけ気を取られたと言った方が正しい。だが、その一瞬をドーシャスは見逃さなかった。迷うこと無くトリガーを引く。けたたましいモーター温と連続した銃声、空になった薬莢が地面に散らばる音がさながらオーケストラの様に音を奏でる。哀れ、扉を開けた兵士は次の瞬間には肉片へと変貌を遂げた。後続の敵兵士もアサルトライフルを構えたものの、そのタイミングでスタングレネードが炸裂し、彼等にショックが襲い掛かったのである。ある意味、敵の兵士は幸運だったかもしれない。何が何だか理解できないままこの世を後にしたのだから。 「クリア」  男は廊下を確認し短く答えた。部屋へと侵入しようとしていた敵兵士はその悉くがドーシャスのミニガンの餌食となったのである。ミニガンの破壊力に呆れと恐怖感を募らせると同時にそれを扱うドーシャスに対する敬意が彼の中に沸き上がっていた。 「流石だな、えーと……」 「ドーシャス。スパカリ・ドーシャス。重装歩兵、軍曹だ」 「そうか。私はレダス・エド・ダーン。中尉だ。」 「これは失礼しました。」 ドーシャスは慌てて敬礼をする。自分より年下で階級が上の人間は少なくなかったし、軍の規律と言うものをドーシャスは理解していた。確かに非常事態とは言え無礼を働いたのだから、非礼を詫びる必要性があるのだ。尤もドーシャスが本心から詫びているかは別の話なのであるが。 「構わん。私は階級こそ上だが、経験は軍曹の方が豊富なのだから。それこそ、私に対して敬語は不要だ。」
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