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スパカリ・ドーシャス。A国陸軍に所属する、重火器を操る重装歩兵である。階級は軍曹。ブラウンの髪を短く刈り上げており、輪郭こそ丸いものの彫りが深い顔立ちをしており、灰色の瞳は鋭い眼光を放つ。身長170cmとあまり高くはないが、鍛え上げられた肉体は数字以上に彼の身体を大きく見せており、大柄な印象さえ与える。現に彼と街中で出会った者はその悉くが彼の事を格闘家だと勘違いしたと言う。風貌からは予想もできないが、今年で齢50を迎える。20年以上もの歳月を軍人として生きてきた事になるが、彼が軍曹という階級に留まっているのは、彼の性格に依る所が大きい。彼は階級と共に増大する責任を嫌い、また本人の弁であるが「他人に指示を下すのは苦手でな、こんくらいのが性に合ってんだよ」との事らしい。兵士としては優秀な部類で、ある程度の戦果は挙げているが、それを評価され昇進しても、直後に何かしらの不祥事を巻き起こし、降格処分を受けている事が事実として記録されている。
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時刻は午前3時。辺りこそ宵闇に包まれたいたが、前線基地はサーチライトの光りによって闇を散らし浮かび上がる姿は神秘的な雰囲気すら醸し出していた。起きている者は見張りと一部の兵士ぐらいであり、その殆どが眠りについていた。見張りも気合いが入っておらず、欠伸混じりに見回りを続けていた。もし、緊張感をもってしっかりと見張りを行っていれば、闇に紛れて基地周辺を蠢く連中に気が付いただろうし、スコープで覗かれ、銃口を向けられている異様な状況に対応も出来ただろう。
スコープを覗いているのは連合軍のC国系の兵士である。狙撃部隊が基地周辺にスタンバイし、見張りの兵士を同時に撃ち抜く作戦だ。複数の連合軍兵士がスコープの十字を見張り兵士の頭に合わせ、ボルトアクション式スナイパーライフル、L96A1のトリガーに指を掛けていた。
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