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爆発と同時に基地内には非常を知らせる警報がけたたましく鳴り響く。これにより基地内の全員が異常事態に気付くこととなる。しかし、気付いたのも『異常な事が起こっている』という事実だけであった。
「第2ブロックで爆発発生!火災も起こっている模様!」
「原因は!?」
「不明です!」
通信指令室では悲鳴に近い報告が飛び交っていた。突如として爆発が巻き起こったのであるが、敵襲の報告は受けていないし、この前線基地が砂漠に近いという立地上、電力を冷房と冷蔵庫等の冷却装置に割かざるをえないのでもともとから監視カメラの様な物は設置されていなかった為、通信指令室は外部の情報を入手できないでいた。そんな中一人の兵士が通信指令室に飛び込んできた。
「報告致します!我が基地は敵の襲撃を受けております!」
兵士が敬礼と共に叫んだ言葉は通信士達を混乱に陥れるのに充分な衝撃と破壊力を有していた。これも備えさえキチンとしていれば回避出来たであろう。更に混迷を深める事となる報告が続く。
「続けて報告!先程の爆発により、破壊された部屋はボロリモンド中佐の寝室の模様!」
指令室に居た者はこの報告に互いに顔を見合わせると共にざわめきとどよめきが起こる。基地のトップが死んだかもしれないと言う疑惑、可能性が全員の頭を過ると共に確固たる証拠もない事から事実を受け入れられないでいるのだ。また、仮にポロリモンド中佐が殉職した場合の指揮系統の引き継ぎが本来ならば副官のグラス大尉に移るのであるが生憎グラス大尉は本国に召集されており、代わりの人材は用意されていなかった。故に通信指令室は混乱に陥ったのである。ドーシャスの行動は敵だけでなく見方をも混乱させる結果となってしまい、後世の歴史家からは非難の声をあげる者も存在する。
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