筋金入りの射手達

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 混乱の真っ只中にある通信指令室にて一人冷静に状況を分析していている者が居た。通信士シンセ・ユウロベットである。彼は椅子に腰掛けたまま機材を睨み付け、やや俯き加減のまま腕を組んでいた。 (騒いだ所で何か変化があるわけでもないだろうに……) 周囲の雑音に軽く苛立ちを覚えながらも彼は今自分が置かれている立場、ひいては基地が置かれている立場について頭を捻っていた。 (恐らく……この爆発は敵にとっても予期せぬ事態の筈だ。見張りの兵からの報告が無いとなると、全員もう殺られてる可能性が非常に高い。つまり、敵は闇に乗じ、電撃的に基地を制圧する算段だったに違いない。そうなれば、爆発を引き起こして我々に潜入を伝える必要も無い。) ユウロベットの予測は正しかった。事実、この爆発により襲撃犯である同盟軍は作戦変更を余儀無くされていた。ユウロベットの頭の回転は更に加速する。 (基地への潜入が知れ渡っている以上、敵は死に物狂いで目標を達成しようとするだろう。つまり、次に狙われるのは此処だ。そうなれば、俺のすることは……。)  彼の読み通り、同盟軍の予定は闇に乗じて基地内へと潜入し、通信指令室を乗っ取り全線基地の無力化する事であった。戦闘が起こらずに基地を乗っ取る事が出来れば同盟の反抗作戦の拠点として利用する事も可能だったのである。しかし、それはもはや不可能となった同盟軍は基地陥落に作戦を変更した。しかし、どのみち通信指令室は攻撃対象となる。同盟軍はA国兵士を排除しながら、通信指令室を目指し建物内への侵入を開始しようとしていた。  シンセ・ユウロベットは自身の頭の中で結論が出ると目の前の機材を弄り始めた。まず、本国に襲撃された事の報告を行う。それと同時に基地内への放送を入れる。 「我が基地は現在攻撃を受けている!兵士は敵を迎撃せよ!これは演習ではない!」
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