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八雲の後ろを付いて千は歩く。
そして、今までに見たことがない魔法陣を見た。
「これ…ですのね」
「姫様、此処にお立ちください」
魔法陣の中心に千を立たせ、八雲はその横に立つ。
「姫様、お止めになるなら今です」
「八雲、わたくしの気持ちは変わりません」
真っ直ぐに八雲の目を見て話す千の瞳は澄みきっている。
「姫様…お手を」
八雲の手の上に、千は手をそっと乗せる。
そして八雲に微笑む。
八雲も、千を見て微笑み
「これから幾度生まれ変わろうと、二人は夫婦になる運命となります」
「…はい」
「私は、生まれ変わっても八雲と名乗れるよう術に組み込んでます。姫様は千で宜しいですか」
八雲に訊ねられ千はしばし考え込む。
「先ほど、雪がそろそろ降るだろうと思ってましたの。もう冬ですから…ですから千冬と言う名はどうでしょう」
「千冬、良い名です」
「八雲と千冬ですわね」
嬉しそうに微笑む千に八雲は頷き、握った手に力を込めた。
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