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そして…。
二人の願いは叶う。
不完全な術の為、八雲が千の封印された魂を開放しなければ千は現れないが八雲は幸せだった。
千もいつの日か八雲が術を完成させ、生まれた時から前世の記憶が思い出せる日が来る事を願った。
貴族の世が終わり、武士の世も過ぎた。
その間にも、二人は何度も生まれ変わり夫婦になった。
いつの世も、千は千冬として生まれ、八雲は八雲として生まれた。
そして今、二人は腐腐腐館で愛を育んでいた。
「ちーちゃん、今度こそ術が完成でち」
「やっくん、頑張って」
術が完成しなくても千は幸せだった。
身分が無くなったこの時代は、ずっと千が願っていた時代。
「やっくん、わたくしお料理やお洗濯をもっともっと上手くなりたいの」
「ちーちゃんの好きな事をやるでち」
「やっくん」
「ちーちゃん」
まだ、八雲が居なければ千の意識は目覚めないがそれでも千は幸せで、今夜も八雲の腕に抱かれ幸せを噛み締める。
ずっと、ずっとやっくんの側で過ごせますように…。
そう願いながら眠るのだった。
ー終ー
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