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右大臣家の総領姫千は、浮かない顔で庭を眺めていた。
父親の右大臣から、明日の宴に参加しろと言われたからだ。
「おでいさん、かなり怒っていましたわ」
殿方の文を尽く無視してきた千だが、裳着を済ませたのは何年も前だ。
いき遅れに入った千に痺れを切らせた父親が、明日の宴で結婚相手を選ばないなら尼にすると言ったのだ。
千が裳着を済ませたのは12歳だった。
当時、大納言だった父親は婿選びに本腰を入れたのだが、千は殿方の文を無視し続けた。
そして、千は18歳となった。
いき遅れな娘に、ついに父親が実力行使を宣言した。
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