始まりの冬

2/13
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
右大臣家の総領姫千は、浮かない顔で庭を眺めていた。 父親の右大臣から、明日の宴に参加しろと言われたからだ。 「おでいさん、かなり怒っていましたわ」 殿方の文を尽く無視してきた千だが、裳着を済ませたのは何年も前だ。 いき遅れに入った千に痺れを切らせた父親が、明日の宴で結婚相手を選ばないなら尼にすると言ったのだ。 千が裳着を済ませたのは12歳だった。 当時、大納言だった父親は婿選びに本腰を入れたのだが、千は殿方の文を無視し続けた。 そして、千は18歳となった。 いき遅れな娘に、ついに父親が実力行使を宣言した。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!