始まりの冬

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中を確認し、千は部屋に入る。 「八雲、研究は進んでいるのですか」 巻物を熱心に読んでいた八雲は、びっくりして後ろを振り向く。 「まぁ、八雲ったら。そんなに驚く事は無いのではなくて?」 「千姫様、貴族のお姫様がこのような下賤な場所に来てはいけないと何度も申し上げていますが…」 ちょこんと八雲の隣に座り千は巻物を見る。 「分かってます…それで、研究はあれから少しは進みましたか?」 八雲の言葉に千は、目を伏せるながら話を続ける。 「研究は、行き止まってます。理論上は…」 八雲は、自分の研究を千に話した。 いつも千は、八雲の話を聞くと大人しく部屋に戻るからだ。 「つまり、実験結果は今の段階では分からないのね」 珍しく千は、八雲の話に口を挟むと考え込む。
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