始まりの冬

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千は必死で八雲に話した。 「お願いよ。わたくしを八雲の妻にして。この世で無理なら来世で八雲の妻になりたいの」 「姫様、本気で私のような下賎な身分の者を夫にと」 八雲は、千冬から目を逸らし床を見る。 「来世では、身分などどうなっているか分かりません。もしかしたら、八雲の方が身分が高くわたくしが低いかもしれません」 「ですが、この術を一度掛けたら解くことは不可能です。 姫様は、これからの来世を私と結婚する運命となるのです」 「ええ、そうですわ。わたくしは、この術式を理解してます」 八雲は必死に千を思い留まらせようと話すが、千の考えは変わらない。 凛とした目で八雲を見つめている。 「姫様、そんな目で見ないでください。私の決意が揺らぎます」 「揺らいでください。そして、わたくしとずっとこれからの来世を生きると誓ってください」 「…姫様」 千の言葉に八雲の目に迷いが生まれた。
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