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企画部のオフィスに入ったゆいは、桜田の席をじっとにらんでいた。
「高梨、何怖い顔してるんだ」
と声を掛けて来たのは古田だった。
「アキが可哀想です。
苦しくて、辛いはずなのに、一人でその苦しみと戦ってる。
出世って、愛する人を苦しませてまで、するものなのでしょうか」
ゆいの言っている意味は、古田には良く分かった。
古田は、ゆいにこう言った。
「ある一部の人間にとっては、出世が全てだ
だから、周りが見えなくなったりする。
でも、あの人は違うと、俺は信じてる」
ゆいの肩を叩き、古田は席に着いた。
「私もそう思いたい…。
でも、アキは苦しんでるんです…。
愛する人の事を想いながら…」
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