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「んで、なんで俺が歌ってみなきゃなんないんだよ」
ニコニコして一向に話を進める兆しがない巧をにらみ付け、急かすと、巧はまあまあ、と話し始めた。
「んーと………僕ちゃんさ、ボカロpなのね」
「は?」
180を越える長身や金髪にミスマッチな「僕ちゃん」すら、存在感をゼロにするほど、ショッキングな発言だった。
「お前………腐男子なだけじゃなかったのか!?」
そう、「僕ちゃん」巧は、生粋の腐男子だった。
入学から一か月ほどの頃、いつまでも寝ている巧を起こしに部屋に入った時の衝撃は忘れられない。
床に散乱する、裸の男が絡み合った本たち。
恐ろしくなり、その時はすぐに巧を叩き………蹴り飛ばした。
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