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葬儀の参列者が
焼香をする光景の中に
見覚えのある姿を見て。
喪服に身を包み
妹の霊前に手を合わせる
ーーー暁臣。
暁臣は親族席の方に
向き直って
静かに頭を下げて。
オレは思わず
椅子から立ち上がった。
暁臣は列から離れて
静かに歩み寄り…
「…お悔やみ申し上げます。」
暁臣の低い声に
喉元がグッと詰まって…
来てくれたのか…
って思いと裏腹に
複雑な心境に陥って。
カヨとは面識があるし
葬式に来てくれるのは
常識的には…
当然と言えば、当然で。
ーーーでも…
「…悪い…暁臣…
今は…帰ってくれ…」
オレは思わず言い放ち
暁臣は無言で去っていった。
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