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淡々と話す暁臣が
書物の頁を捲る手元に
無意識に目が向かって。
「…お前の…その手。」
オレの些細な呟きに
暁臣がチラリと視線を向けた。
暁臣の手は男ながらの
大きな手をしていて
指も意外と骨張ってるが
指の長さがそれを
カバーしているようで。
だが、握り拳は…
手の甲と指の付け根の
出張った拳骨が真っ平ら。
コレは…
長年、打ち付けてなきゃ
ここまで骨が変形する訳ない。
「結構、喧嘩っ早い?」
オレの問い掛けに
暁臣は小さく息を吐いて
視線を戻した。
「分相応に生きてきただけです。」
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