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その頃の妹・カヨは
オレの一人暮らしのアパートに
実家からの差し入れだと
ニコニコ上機嫌で
届け物をしてきて。
「ねぇ、お兄ちゃん。
今度…彼と会ってくれない?」
「は?」
カヨが恐る恐る
尋ねてきたかと思えば
そんな内容で。
「彼にね…お兄ちゃんの話したら
一度、会ってみたい、って…
両親に会わせる前に
お兄ちゃんだけでも
会ってくれたら
デモンストレーション、って言うか
私にも、そういう雰囲気が
少しだけ分かるかな、って…」
「…まぁ、別にいいけど。」
兄としては。
まぁ、多少は複雑で。
妹の彼氏に会う、なんて人生初。
って、妹に彼氏が出来たのが
初めてなんだから当たり前だけど。
まぁ、通るべき道なのは
理解していたんだが。
無性に、親父の気持ちが
すごく、よく分かった。
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