第一章 ~ 妹 ~

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「ーーー武司?」 名前を呼ばれて 我に返ったオレの前に 珈琲カップを置く 暁臣の叔父・伊達謙介。 『藤堂総合病院』が 摘発されて一ヶ月ーーー。 「どうしたの、武司。」 喫茶・三日月の店内の カウンターで隣の若杉瑞穂が オレの顔を覗き込む。 「いや、ちょっと昔を思い出して」 オレが笑いながら言うと 謙介さんは何かを察したように フッと微笑んだ。 パーマのかかった髪を 後ろで一つに結んで 鼻髭と顎髭がダンディーさを 醸し出す謙介さん。 暁臣は藤堂の父親に 似てると言われてるが こういう所は謙介さんと 暁臣は似てると思う。 ・
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