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「例えば、の話だ。」
暁臣はそう告げて
オレにフッと笑って。
「オミさん、早く!」
「廉太郎。急かすな。
まだ間に合うだろーが。
圭太郎も時間通りにしか
現れねーよ。」
オレ以外の人間と
暁臣が素で話している様子を
初めて見たかもしれない。
暁臣にあんな口を効く奴も
珍しいと思った。
暁臣は廉太郎という男と
そんな会話をしながら
去って行って。
暁臣の後ろ姿を追っていた
オレの視界には
カヨが佇んでて。
その妹の視線が…
ーーー暁臣に向いていた。
いや、まさか。
『ウチの子に限って』
そんな事を思うなんて
オレのただの勘だ。
だけど…。
「…カヨ?」
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