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濡れた前髪を掻き上げて
露わになった暁臣の眼差しから
オレは目が離せずにいた。
切れ長の二重瞼から
漆黒の瞳に宿るのは
まるで、オレへの…
ーーー羨望みたいで…
育った環境…
「っ…いや…
そんな事ねーよ。
普通の一般家庭だし。
学資保険で大学
行けてるだけだし。」
オレは思わず
顔を反らしてから
焦るように口を開いて。
「普通、が一番じゃね?
両親がいて、兄弟がいて…
飯食って、学校行って。」
そう語った後に
暁臣は深く息を吐いて。
「…普通じゃ…なかったのか?」
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