第四章 ~ 悪魔の傷痕 ~

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濡れた前髪を掻き上げて 露わになった暁臣の眼差しから オレは目が離せずにいた。 切れ長の二重瞼から 漆黒の瞳に宿るのは まるで、オレへの… ーーー羨望みたいで… 育った環境… 「っ…いや… そんな事ねーよ。 普通の一般家庭だし。 学資保険で大学 行けてるだけだし。」 オレは思わず 顔を反らしてから 焦るように口を開いて。 「普通、が一番じゃね? 両親がいて、兄弟がいて… 飯食って、学校行って。」 そう語った後に 暁臣は深く息を吐いて。 「…普通じゃ…なかったのか?」 ・
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