第四章 ~ 悪魔の傷痕 ~

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「なんで? 探したりしなかったのか? その子の事…好きなんだろ?」 オレの半ば必死な質問に 暁臣は小さく息を吐いて。 「…探してどーすんだよ。 それに…“好き”って感情なのか 俺には判断が付かない。」 自覚無し、か? 歳も顔もハッキリ覚えてないけど あんな顔で笑ってんじゃん… 冷酷男・暁臣がここまで 柔らかく微笑んだ事はない。 「でも、あの日があったから 俺は今…こうしてる… あの頃のままなら 大学進学も医者の道に進む事も 選んでなかったし… 俺には何も無かったから…」 その言葉はまるで 自分の軌跡を導いたのは その『女の子』だと 語っているようで。 “俺には何も無かったから” 暁臣の語る言葉に 胸がグッと締め付けられて 熱くて苦しくなる。 ・
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