俺は最強の勇者でした。

10/10
前へ
/146ページ
次へ
「くそっ…面倒な事を…」 俺はそう言いながら、魔力の発生元を探る。 勇者召喚の魔方陣は異世界への扉。 こちらには存在しない魔力が流れ込んでいるならば、確実に魔方陣が発生源だ。 「………みっけ」 次の曲がり道で曲がって直ぐだ。 俺は少し早足でそこまで向かう。 曲がってみると、俺が召喚された魔方陣とは少し違う魔方陣があった。 「俺の魔力に反応したのか、勇司や結菜の主人公性に惹かれたのかは知らんが、自分の世界は自分で何とかしてくれや」 右手で虚空を掴む。 そのまま腕を引くと、氷から直接削り出したような流麗な長剣が手に握られていた。 これは俺が勇者として喚ばれた際、勇者の剣として貰った物だ。 銘を『ニヴルヘイム』という。かっけぇだろ。 魔方陣を真っ二つにするかのように、ニヴルヘイムを振る。 ニヴルヘイムは地面ごと魔方陣を斬る。 すると、魔方陣は白い光の粒子となって消滅。先程まで感じていた違和感も完全に消滅した。 「ふぅ……」 あのバカ共が高校生になってから、勇者召喚という名の異世界誘拐未遂が多発している。 その度に魔方陣を破壊しているが。 こんなのが俺の日常。 「……くそ、はやく戻らなきゃなんねぇのに」
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3206人が本棚に入れています
本棚に追加