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「くそっ…面倒な事を…」
俺はそう言いながら、魔力の発生元を探る。
勇者召喚の魔方陣は異世界への扉。
こちらには存在しない魔力が流れ込んでいるならば、確実に魔方陣が発生源だ。
「………みっけ」
次の曲がり道で曲がって直ぐだ。
俺は少し早足でそこまで向かう。
曲がってみると、俺が召喚された魔方陣とは少し違う魔方陣があった。
「俺の魔力に反応したのか、勇司や結菜の主人公性に惹かれたのかは知らんが、自分の世界は自分で何とかしてくれや」
右手で虚空を掴む。
そのまま腕を引くと、氷から直接削り出したような流麗な長剣が手に握られていた。
これは俺が勇者として喚ばれた際、勇者の剣として貰った物だ。
銘を『ニヴルヘイム』という。かっけぇだろ。
魔方陣を真っ二つにするかのように、ニヴルヘイムを振る。
ニヴルヘイムは地面ごと魔方陣を斬る。
すると、魔方陣は白い光の粒子となって消滅。先程まで感じていた違和感も完全に消滅した。
「ふぅ……」
あのバカ共が高校生になってから、勇者召喚という名の異世界誘拐未遂が多発している。
その度に魔方陣を破壊しているが。
こんなのが俺の日常。
「……くそ、はやく戻らなきゃなんねぇのに」
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