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「・・・半分かな?休みの日だけならいいって。学校には男の子の格好をして行ってくれだって」
そうね、お母さんの言うことは解るわ。大人の世界は少年が思うより複雑で難しいのだ。
「でも、よかったわね。念願のかわいい服を買ってもらえて」
うんと少年は大きく頷き、ぽんと縁から飛び降りると私の隣に座った。
「お姉ちゃんもさ、ボクの格好を見てかわいいって。変だよね?前はキモチワルイって怒ったくせにさ、全然覚えてないんだ。そんなこと言ってないって怒るんだ」
「傷つくようなことを言われたら、言われた方はずっと覚えているものだけど、言った方って案外忘れてしまうものなのよ。だから、君もお姉ちゃんが昔言ったことは忘れちゃえばいいのよ。君はお姉ちゃんのことが嫌い?」
「ううん、好きだよ」
「そう、だったら忘れちゃいましょう。許すってことは君が大人な証拠よ」
ぱちりとウィンクをすると解ったと少年は大きく頷いた。
両足を閉じてスカートの裾を気にする君の前に、小さなクーラーボックスを差し出した。
「何これ?」
少年が目を丸くしてクーラーボックスを手にする。
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