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「君が勇気を出せたご褒美よ。開けてみて」
少年は頷くと太ももの上にクーラーボックスを乗せ、蓋を開けた。「うわぁ」と感嘆の声が漏れる。
「かわいい~、何これ?」
敷き詰められた氷の中に、透明なプラスティックのグラスが2つ立っている。少年は壊れ物を扱う時のように慎重な手つきで氷の中からグラスを取り出した。
グラスを太陽にかざしてみると、中のゼリーが7色の光を反射して輝いた。
「白桃のジュレよ。冷えてるうちに召し上がれ」
白桃を使った冷たいデザートを作ってみた。ジュレの中にはサイダー入っていて、口に含んだ瞬間、炭酸が弾けるだろう。
白桃のジャムをジュレに混ぜ、グラスの淵にはたっぷりの果実とミントの葉を添えた。ピーチ味のピンクのハートを象ったゼリーもジュレの中に入れてみた。
「どう?」
ジュレを口に含んだ瞬間、幸せそうに綻ぶ少年の表情を見て、作って良かったなと思った。料理人として、この瞬間が一番好きだ。
私の作った物を食べて幸せそうに笑う表情。
「おいしい!すごい!!これ、よっしーが作ったの?」
「そうよ。お金を貯めて、お城のようなかわいいピンクのお店をオープンさせるのが私の夢なの」
「へぇ、いいなぁ」
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