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「磯貝珊瑚(いそがいさんご)、ボクの名前だよ」
珊瑚ちゃん・・・何だ同じ名前だったのね。ふっと笑みがこぼれてくる。
「珊瑚ちゃんだったのね?・・・そういえば、私の名前を知って、思い切り嫌な顔してなかった?こんな奴と同じ名前だ、最悪とか思ってたんじゃないの?ヒドーイ!」
「最初だけだよ!今は違うもん!・・・大人は許すことが大事なんでしょ?」
「それとこれとは話が別よ!」
私は珊瑚ちゃんを羽交い絞めにし、ぽくぽくと頭を叩く。
「よっしー、彼氏待ってるよ!」
珊瑚ちゃんが公園の入り口を指差す。全く、生意気なガキと悪態をついて、その後、顔を見合わせて笑った。
「ありがとう、今ではよっしーと同じ名前だって、嬉しいよ。またね、今度はよっしーオススメのカフェに連れてってね」
満面の笑みで珊瑚ちゃんはベンチから手を振ってくれた。さらりと団地の間から生暖かい風が吹いて来て、珊瑚ちゃんの髪と背景に広がるニチニチソウの花たちを揺らしてた。
「約束、忘れないでよ!!」
後ろ姿に声を掛けられ、OKと指でサインを作り、珊瑚ちゃんに答えた。
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