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「かわいいお友達ができたみたいで・・・」
公園の入り口にある柵に腰掛けていた竜ちゃんは私が目の前に立つと、上目遣いに私を見て、唇をすぼめた。
「何を約束したのやら・・・」
あらあら、もしかして妬いてる?あんなに小さい子なのに、竜ちゃんも珊瑚ちゃんが実は男の子だと気付いているみたいだ。小さな嫉妬心に心がくすぶられる。竜ちゃん、なんてかわいいの!
「大丈夫よ、私には竜ちゃんが一番だから」
そう言って、竜ちゃんの腕を取って、通りに出た。竜ちゃんは照れているのか頭の後ろを掻きながらゆっくりと立ち上がった。
「幸せの道」が夕陽色に染まってきた。
水色とオレンジが水彩画のように交じった空の色、篭った夏の空気の匂い。
それでも高く空に向かって枝を伸ばすサルスベリ。
「この木ってなんていうのかな?」
ふと通りの木を見上げて立ち止まった竜ちゃんが訊ねる。
「枝の両側に交互に丸い葉っぱがついてて、枝の先にはくしゃくしゃっとした花?がついてる。僕の田舎にもあった気がするけど、そういえば何ていう名前か知らなかったな」
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