昔語り
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その昔、 この山は、たいそう 好色だったのじゃ。 巫女様が神がかりして、お告げが出ると、 里の人々は 生け贄(いけにえ)に 娘を差し出した……。 川を越え 険しい山道を無言で登り、 山小屋に娘を一人、 置き去りにしたものじゃった……。 そして、とうとう、 儂(わし)の先祖の 弥兵衛爺(やへえじい)さんが孫、 おさきに白羽の矢が当たり、 生け贄になることとなった……。
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