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「エドワード・シュルレ。性別は男、歳は今年で二十四。階級は伍長。死因は不明です」
「不明?」
「それが検死官も吐きそうな程、身体を切り刻まれていましてね。血液の元素識別でやっとですよ……」
軍人が二人、険しい顔で話し合うここは、王都リアレーオの中心である、王宮の一室。
二人の目の前には、ブルーシートを被せられた、血塗れの凄惨な遺体。
二人のほかにも大勢の捜査官が、死体の周りを忙しなく動いて、当時の実況検分を行っている。
「まだ若くて、将来有望だったんですよ……」
「全く。先だっての国王暗殺未遂に続いてこれか。しかも王国の中心で殺人事件なんて起っちまうなんてよ」
軍の男はそう言いつつも、両手を合せ、謎の死を遂げた後輩の骸を弔った。
「犯人の目星はあるのか?」
「今の所は全くです。ですが、必ず見つけ出してやりますよ!」
「バカたれ。そうやって無駄に意気込むヤツから死んでいくんだぞ」
年上の軍の男はそう言うと、後輩の頭を小突いた。
そして顎の無精ひげをさすりながら……。
「エドワード伍長の所属していた部隊の部隊長は?」
「ソラン・セインベント隊長ですね」
「怪我してたな……。挨拶と報告に行くか」
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