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一礼をして、部屋の外へと出たフェンデリックを、エルドとルティエが待っていた。
「きっとこれから行われる審問の事だとは思う……」
「責任があるんだよね……?」
ルティエが訊く。
「そうだな。国王陛下を守れなかった事に対しての、非難なんだろう」
「悪いのは教団なのに……。ひどいです」
「君が気にする事はない」
フェンデリックはそう言うと、ふぅ、と軽く息をはいた。
「父上は俺が軍で活躍しても褒めてはくれるが、決して認めてはくれない……」
「俺からして見れば世間で有名な親って言うのは憧れもするけど、プレッシャーが大きいよ」
エルドなりに何とか気を使って出した言葉だが、案の定フェンデリックの表情は硬いままであった。
「これから君達はどうするつもりだ?」
フェンデリックが唐突に尋ねて来れば、エルドはすぐに答えていた。
「ベリントンに向かいます。精霊学の学者に会いにと、教団の事を調べる為に」
「ベリントンにか? 君達が直接向かうのか?」
「ああ。今までだってそうだったから、今更どうってことはないさ」
エルドはそう言い、携帯電話で今の時間を確認した。
夕方、皆と部屋で集合する約束の時間だ。
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